2019年3月のテーマ写真館




 《 オーストラリアの海の野生 》


南太平洋とインド洋にはさまれ、すぐ北には赤道、そして南海岸は南極と向き合う変化にとんだ大陸がオーストラリアです。大陸の北半分はトロピカルな気候で、世界有数のサンゴ礁が広がり、南極方面からの海流の影響を受ける南海岸には大型クジラが回遊し、ペンギンも生息します。そして、オーストラリア大陸と南極の間の南極海にはオーストラリア領の島が点在し、熱帯から寒帯まで、地球の海の多くの野生動物が見られるのです。

<関連書籍>
「島の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真
「七つの海の物語」(データハウス刊)中村庸夫:著・写真
「ペンギン全種に会いに行く」(平凡社刊)中村庸夫:著・写真

ジェンツーペンギン

ミナミセミクジラ

オーストラリアオットセイ


コガタペンギン

ザトウクジラ

ミナミゾウアザラシ


オウサマペンギン

シロナガスクジラ

オーストラリアアシカ


ロイヤルペンギン

ミンククジラ

ジュゴン


ウィーディーシードラゴン

バンドウイルカ

カモノハシ


リーフィーシードラゴン

ナンヨウマンタ

ジンベエザメ


 ◆ 海の一言 :『カモノハシ』


鳥のカモのようなくちばしを持ち、卵を産み、ふ化した子供を乳で育てる珍しい哺乳動物です。カモノハシ科・カモノハシ属に分類される1科・1属・1種の動物で、広くオーストラリア南東部や、タスマニア島などに分布し、樹林を流れる河川や湖沼などに生息しています。ヨーロッパ人が1798年に最初に発見し、はく製やスケッチがグレートブリテン王国へ送られた時、科学者たちは、標本は模造品で、ビーバーのような動物にカモのくちばしを縫い付けた物であると考え、縫い目がないか毛皮に切り込みを入れたそうです。学名は、ギリシア語で「鳥の口吻」の意味で、英名の“platypus”(プラティパス)はギリシア語で「平たい」+「足」で、「扁平な足」を意味し、水鳥のような水掻きを持ちます。初期のイギリスからの移民は「水モグラ」 “watermole”や「カモのくちばし」 “duckbill”、「カモモグラ」 “duckmole”などと呼んでいたそうです。全長はオスで最大630mm、体重は3kgほどで、メスはやや小さいです。全身に1平方cm当たり600本以上の非常に上質で柔らかい体毛が生え、保温性に優れています。オスの後脚には毒を分泌する蹴爪があり、繁殖期に毒が増すため、同性間で優位を主張する武器と考えられています。単独で生活し、夕方や早朝に活動が最も活発になり、水中では目を閉じて泳ぎ、くちばしにある鋭敏な神経で生体電流を感知し獲物を探します。動かなければ最大で11分ほど水中に潜っていることができ、昆虫類、甲殻類、貝類、ミミズ、魚類、両生類などを捕食するそうです。水辺に穴を掘って巣にし、繁殖期は8月から10月で、1回に1-3個の卵を産みます。卵は17mm程で、10-12日で孵化し、約4か月で独立し、寿命は最大で21年とされます。

陸上を歩く

水中を泳ぐ

雄の毒爪




海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。