連載 「海の名前」 2024年4月号


〜 流れ藻(drifting algae, drifting seaweeds) 〜

海面に浮遊する種々な藻類の総称です。浮遊した状態でも繁殖する大西洋のサルガッソー海の流れ藻や、カリフォルニア沿岸のジャイアントケルプが有名です。日本近海に多いホンダワラ属の海藻は、葉っぱのような藻体の間に、丸い「気泡」と呼ばれる浮きが多くついて海底から立ち上がり、海底から離れると水面に浮かんで漂い、流れ藻となります。日本では海藻の時期が終わる初夏になると波や流れで切れて海底から離れ、水面に浮いてかたまって漂い、潮や海流に乗って流されます。ヨコエビ、ワレカラなどの端脚類など小型の節足動物などが集まると共に、ブリやシマアジ、サンマなどが産卵基質にします。さらに潮目に集まると、様々な生物が隠れる場所や餌場、産卵場にも利用します。ハナオコゼやガザミなども住み着いて生活するなど、流れ藻は沿岸から沖合での水面で重要な環境を作り出します。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


ヤツマタモクとメバルとキヌバリ

水面上から見たジャイアントケルプ

マメタワラ気胞


イスズミ

ブリの子供(モジャコ)

ハナオコゼ





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