連載 「海の名前」 2024年5月号


〜 潮汐(ちょうせき) 〜

主として月と太陽の引力によって起こる海面の昇降現象で、1日に1〜2回のゆっくりとした上下動が起こります。「潮の干満」、「潮の満ち干」、「潮の満ち引き」とも呼ばれ、大和言葉で「しお」とも言われます。漢字で「潮」と書きますが、本来の「潮」は「朝のしお」、「汐」は「夕方のしお」という意味とされますが、一般的に潮汐には「潮」が使われています。潮汐にともない、水面が下がるところから上がるところへ流れが生まれ、これを潮汐流と呼びますが、表現としては「潮汐」という言葉がこれを指していることもあります。
地球上では月と太陽の位置により潮の大きさが変わり、自転に従い上下動は約半日周期で変動し、海水面が最も高くなる時を高潮(こうちょう)・満潮・満ち潮と呼び、海水面が最も低くなる時を低潮(ていちょう)・干潮・引き潮といい、これらの現象をあわせて潮の干満と呼びます。通常の干満は通常1日2回ずつあり、干潮から次の干潮までの周期は平均約12時間25分かかり、干満の時刻は毎日約50分ずつ遅れてゆきます。こうした事から1日1回の干満の日も年に数回あり、1日にそれぞれ2回ずつ高潮と低潮がある場合を1日2回潮、それぞれ1回ずつの場合を1日1回潮と言います。こうした天体の引力による潮汐の理論を発表したのがニュートンとラプラスと言われます。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


満潮で潮位の高い港

干潮で干上がった港

干潮で干上がった港





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