連載 「海の名前」 2024年11月号


〜 死海 〜

死海(英語:dead sea)は、紅海からアカバ湾を通ってトルコに延びる大地溝帯上のイスラエルとヨルダンの間に位置しています。平均気温が23°Cと非常に高く、死海にはヨルダン川が流れ込みますが、そこから流れ出す川がなく、高温で乾燥した気候で大量の水が蒸発するために塩分濃度が高くなり、濃度33%の湖が生まれました。湖面の海抜は地球上で最も低く、2004年に海抜-417メートルだったのが、平均で1年に1mのペースで湖面が低下しており、2019年には-433mになっています。これは、ヨルダン川上流部での大規模な灌漑用水のくみ上げなどさまざまな影響で、死海は2050年までに完全に干上がると予測する環境団体もあるそうです。死海の消滅を阻止するため、紅海と死海を結ぶ運河を建設し、紅海の海水を死海に取り入れる計画が進行しています(レッドデッドプロジェクト)。ヨルダンによる計画で、アカバ付近で海水を淡水化し、残りの濃い塩水を死海に放水することが構想されているそうです。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


塩化ナトリウム以外の塩分も多い

製塩所

浮かんで本が読める





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