連載 「海の名前」 2025年1月号


〜 キノコ岩 〜

地表面上に突出した岩が砂漠地方では風食によって根元を削られて生じたり、荒波による波食や海中生物の溶食によって生ずるものとがあります。風食の場合には、風の運ぶ砂の吹き付けによってやすりをかけたように削られます。その姿・形から英語でくぼみを表すノッチ(notch)と呼ばれます。海では、隆起サンゴ礁上で多く見られ、サンゴ礁の石灰岩が水面上に隆起、または海面の後退によって海面上に出てきたものが、海水面の波による海食作用や海面附近に浮遊する微生物が、石炭岩を食侵生物活動で徐々にえぐられてできる地形です。多くは陸続きの崖の根元付近にできますが、離れ岩に表れるものがキノコ岩です。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


ピナシル島、フィリピン

パラオ、ミクロネシア

セブ島、フィリピン





海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。