連載 「海の名前」 2025年3月号


〜 ウミネコ 〜

ウミネコは日本、台湾、朝鮮半島、ロシア南東部、中国大陸東部などで繁殖するカモメの仲間です。日本には通年留まり、沿岸部や河口、干潟などに集まり、鳴き声がネコに似ていることから「ウミネコ」名となりました。中型のカモメ類で全長44-48cm、翼開張120-128cm、体重0.5-0.6kgです。頭部や体下面の羽衣は白、体上面の羽衣は黒灰色で尾羽も白いが内側尾羽10枚の先端付近が黒く、英名は(black-tailed=黒い尾をした)となっています。嘴は太く頑丈なため、種小名crassirostrisは「太い嘴の」の意味があります。集団繁殖地(コロニー)を形成し、沿岸の岩礁や草原などに木の枝や枯草、海藻などで皿状の巣を作り、日本では4-5月に1回に2-3個の卵を産みますが、近年は東京のビル屋上などでも営巣するため、鳴き声や糞害が問題となっています。雑食性で、魚類、両生類、甲殻類、昆虫、動物の死骸などや、他の鳥類が捕らえた獲物を奪う事もあります。1922年に青森県八戸市の蕪島と島根県出雲市の経島がそれぞれ「蕪島ウミネコ繁殖地」「経島ウミネコ繁殖地」、1933年に岩手県陸前高田市の椿島が「椿島ウミネコ繁殖地」、1934年に宮城県女川町の江島が「陸前江ノ島のウミネコおよびウトウ繁殖地」、1938年に山形県酒田市の飛島が「飛島ウミネコ繁殖地」として、それぞれ国の天然記念物に指定されています。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


ウミネコ

青森県八戸市の蕪嶋神社

ウミネコの卵





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