連載　「海の名前」　2025年5月号

帆船は風を動力に帆に風を受けて走る船で、大型船は英語でSailing Ship、Sailing Vesselや四角い帆を持つ所からSquare Riggerやマストが高い所からTall Ship、風で走る所からWindjammerなどと呼ばれ、小さな舟はSailing Boatと呼ばれました。18〜19世紀にかけて、我が国では一枚帆の千石船の時代に、西洋で大型帆船が世界の海に乗り出し、いわゆる大航海時代がありました。鎖国していた我が国は世界に乗り出すチャンスがほとんど無いまま近代化し動力船の時代になりました。小さな舟に帆を立てた打瀬舟やヨットから、5本マストで何千トンもあるものまで、大小さまざまで色々な帆船がありますが、現在の大型船は練習船やクルーズ船がほとんどです。イギリスに本部があるSail Training Internationalや、長年帆船の撮影などに関わってきた私の基準では、ポルトガルのクレオールは縦帆だけで横帆は持ちませんが４本マストがあり帆船にしています。日本丸や海王丸は4本マストのバーク型の帆船で、チリのエスメラルダは一番前方のマストにだけ横帆を持ち、残りの3本には縦帆だけの、バーケンチン型帆船になります。小型で数十トンの船でも横帆を持つ船や縦帆だけでも何百トンもある大型船は帆船と呼びます。

<関連書籍>
「海の名前」（東京書籍刊）中村庸夫：著・写真

クレオウラ

日本丸

エスメラルダ

海の写真のボルボックス　　© 中村庸夫　無断転載を禁止します。