連載 「海の名前」 2025年7月号 |
〜 船首 〜
船が水面を航走するときに船首に海水がぶつかってできるのが船首波で、船首を頂点とする逆V字形の波が生じて見た目には美しくもありますが、造波抵抗の要因となります。船首は船の前の部分のことで、舟偏に首と書いて「おもて」とも呼びます。特に先端部を舳先(へさき)や舳(みよし)、と呼び、英語のbowは帆走艦船時代の船首が弓のような形状だったことに由来します。船首が水を切ると水面には波が立つため、船首の設計は主に波を立てることによっておきる造波抵抗を最小にすることに主眼が置かれ、船首の適切な形状が必要になります。前進する船の船首に高い波がぶつかると、波しぶきが巻き上がるため、船首の凌波性を向上させる構造設計が行われます。抵抗の削減のため、大型船ではバルバス・バウ(Bulbous Bow、球状船首)で船首の起こす波を打ち消し、造波抵抗を小さくし、小型船では波切をよくするため尖らせます。
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バルバスバウ |
バルバスバウの無い帆船 |
バルバスバウの無い船 |
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