連載 「海の名前」 2025年8月号 |
〜 ヨット 〜
ヨット(yacht)といえば、日本ではセール(帆)で風を受けて走るセール・ボートをイメージする人が多いですが、欧米とくにイギリスではエンジンを持つ船を含め、「豪華な遊行船」という意味で使われ、代表はエリザベス女王が新婚旅行に使った王室のヨット、「HMYブリタニア」(全長126m、5769総トン)が知られます。世界の資産家には小型客船並みのスーパー・ヨット(ラグジュアリー・ヨット、ギガ・ヨット、メガ・ヨット)でプールやジャグジー、ヘリパッドを有する動力船のヨットを地中海に置く人が多いです。英語では、風で走る船を帆走ヨット(sailing yacht)や、中でも小型船をsailboatと呼ぶことが多く、これらの舟艇でのレースはyacht raceと呼ばれます。また、動力船を含むヨットでの航海をセーリング(sailing)とも言います。「yacht」の語源は、オランダ語で速い帆船を意味する「jacht」に由来し、三角帆を持ち、風上にも進行可能な高速帆船で、jaght schip、略してjaghtと呼ばれていたそうです。1660年にイギリスで王政復古に成功したチャールズ2世は、オランダから寄贈されたこの乗り物を好み、発音に基づいた英語としてyachtと名前を改めて乗り、これが現在のYachtの語源とされます。日本においては1882年(明治15年)に横浜の本牧で日本人により初めて建造されたセイリング・ボートが、神奈川の葉山で帆走したことから、葉山港には「日本ヨット発祥の地」と刻まれた碑が建っています。
|
![]() |
![]() |
![]() |
ロイヤルヨット・ブリタニア |
ヨットレース |
モナコのスーパーヨット |
|
海の写真のボルボックス © 中村庸夫 無断転載を禁止します。 |