連載 「海の名前」 2025年10月号


〜 離岸流 〜

沖から打ち寄せる波が、岸から沖へ向かって流れ出る海水の流れのことで、その流速は毎秒2mに達する事もあります。(毎秒2mはオリンピックのメダリストが泳ぐ早さとほぼ同じです。)離岸流は、海岸線のどこでも起こる可能性があり沖へ向かって数十メートルから数百メートルに及ぶことがあります。幅は10〜30m程度とあまり広くないのが特徴です。離岸流は目線の高さではなかなか見えないので、もし離岸流に流された場合は慌てて流れに逆らい、岸に向かって泳がない事が一番重要です。岸と平行(流れに直角方向)に泳ぐか、流れが速い場合は呼吸を確保しながら沖に流され、流れが緩やかになってから岸と並行方向に泳いで救助を求めます。沖向きの流れから抜け出せたら、岸に向かう流れを探して岸と平行に泳ぐと、すぐ隣に岸に向かう流れがあるはずなので、その流れに乗ります。波が海岸に対して直角に入る、遠浅で波が荒い外洋に面している海岸に発生しやすいです。地形的には海岸の地形が凹んでいる場所は、その先の海底が周囲より深くなっているため、離岸流が発生しやすいです。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真






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